「帰化植物」は、自然に生えている植物の中でも、外国から人の手によって持ち込まれ、野生でも繁殖するようになったものを指します。 これは、単に国外から入った植物の意味ではなく、人為的な手段で持ち込まれた植物のうちで、野外で勝手に生育するようになったものを指します。意図的に持ち込まれたものも含まれるため、さまざまなものがあります。 日本では約4000種の植物があり、そのうち約1200種が帰化植物とされています。 帰化植物は、景観を構成するので一般の注目を引きやすく、広く人目につきやすい存在です。 帰化植物は、維管束植物の範囲で考えられることが一般的ですが、海藻にも帰化種があり、例えばイチイヅタのように問題となる例もあります。 帰化植物は、人間の活動とともに存在しており、世界的に分布する雑草のほとんどがその可能性があると言えます。これらの植物はもともと日本に生息していなかったもので、人間の活動によって持ち込まれました。以下に、身近で見かける外来種の一部を紹介します。
身近に見かける外来種の植物
アメリカフウロ:
アメリカフウロは、フウロソウ科の雑草で、北アメリカ原産の帰化植物です。日本国内では1932年に京都で発見され、現代では全国的に広がり、道端や空き地に分布し、白い花を咲かせます。
この植物の特徴は、草丈が数十センチ程度で、枝分かれを繰り返しながら横に広がること、大きく3~5裂した葉が手のひらのような形をしていること、直径5mm程度の薄いピンク色の花を咲かせることなどです。また、花びらが散ると花の中央が伸びて実ができ、最初は緑色をしているが熟すと黒くなります。アメリカフウロは在来種のゲンノショウコと同じ仲間であり、葉には赤い縁取りが入り、ゲンノショウコ特有の黒い斑点は見られません。
この植物は、以下の特徴を持っています。鮮やかな黄色い花を咲かせます。5つの花弁が星形に広がり、中心には小さな黒点が集まっています。
茎と葉: 茎は微細な白色の開出毛と腺毛を密生してよく分岐し、高さは10~40cmになります。葉は互生しており、長楕円形で基部まで5~7裂します。
環境への影響 アメリカフウロは、その強い生命力と拡散力により、日本の自然環境に問題を引き起こしています。特に湿地や川辺などの湿った環境を好み、そうした場所ではしばしば自生しています。生態系への影響や農業被害にも注意が必要です。
アメリカセンダングサ
アメリカセンダングサは、北アメリカ原産の帰化植物で、日本全国の道ばたや空き地、湿った場所に生息しています。
以下に、アメリカセンダングサの特徴と生態について詳しく説明します。
草丈: アメリカセンダングサは、50cmから150cmの高さに成長します。
茎: 茎は四角形の切り口を持ち、表面は暗紫色でほとんど毛がありません。
葉: 葉は無毛で対生し、上部では互生することもあります。葉は3~5個の小葉に分かれます。
花: 9月から10月に枝の先に黄色い小さな花をつけます。
果実: 果実には2本のとげがあり、衣服に付着しやすく、広がります。
環境への影響 アメリカセンダングサは、強い繁殖力を持ち、急速に広がることから、在来種に影響を及ぼす外来生物として指定されています。駆除や予防対策を行うことで、生態系被害を最小限に抑えることができます。
アメリカオニアザミ
アメリカオニアザミは、ヨーロッパ原産の帰化植物で、日本全国の道ばたや空き地、湿った場所に生息しています。在来種のアザミよりもトゲが多く、北海道から本州に分布しています。
以下に、アメリカオニアザミの特徴と生態について詳しく説明します。
草丈: アメリカオニアザミは、茎の高さが0.5メートルから1.5メートルで、大きい個体は2メートルにもなります。夏から秋にかけて紅紫色の花を咲かせます。
茎と葉: 茎はロゼットの中央に立ち、全体にわたり鋭い刺を持つひれ(翼)があります。葉は上面は緑色で硬い短毛があり、下面は綿毛が多く白色です。
花: 頭花は枝上に1~3個つき、総包片は線形で先は尖っています。花はタンポポなどと同様にたくさんの筒状花が集まって、ひとつの頭花を構成しています。
種: 種にはタンポポのような綿毛がついており、風に乗って拡散されます。この綿毛つきのオニアザミの種子はノアザミの倍ほどの大きさがあり、風によって広範囲に拡散され、爆発的に増えてくことが問題視されています。
環境への影響 アメリカオニアザミは、鋭いトゲを持ち、強い繁殖力を持つため、在来植物を駆逐したり、人や動物に怪我を負わせることがあります。注意が必要です。
アレチウリ
アレチウリは、北米原産のウリ科の一年草で、つる性の雑草で、全国的に見られます。果実には鋭い棘があります。特定外来生物に指定されています。
形態と生息地:アレチウリは大型のツル植物で、つるの長さは数メートルから十数メートルにもなります。日当たりの良い腐食性の土壌を好み、河川敷などに群生します。
特徴:葉は長い柄のある円形で縁が5~7つに裂け、表面はザラザラしています。茎には太いトゲ状の剛毛があり、巻きひげによって他の物に絡まりながら育ちます。開花は8月から10月にかけて行われます。
環境への影響 アレチウリは非常に高い生命力と繁殖力を持っており、一株あたり20,000個以上の種子をつけることもあります。種子は鳥のフンや靴の裏から別の場所に移動し、群生地を広げる要因となります。
駆除方法:アレチウリは手作業による根ごとの引き抜きが最も効果的です。定期的な引き抜きが必要であり、枯死させる際は密閉できる袋に入れて行います。アレチウリは在来植物の減退やスイカの病気の媒介などに影響を及ぼすため、注意深く駆除する必要があります。
イヌムギ 。
イヌムギは、日本全土で見られるごく普通な雑草で、イネ科のスズメノチャヒキ属に属します。道端でよく見かけるイネ科の植物で、日本全国に帰化しています
形態と生育環境:イヌムギは乾燥した草地や荒地、牧草地、路傍、河川敷、海岸などに生育します。根元で束になって生育し、背丈は40cmから100cmに育ちます。葉は細長く、長さ15mmから30mm、幅は4mmから10mmで、ほぼ偏平で緑色です。茎の下部では白毛を密生させます。開花時期は5月から8月で、茎の先端から円錐花序を伸ばします。
小穂:小穂は両端のとがった披針形で偏平で、長さは2cmから2.5cmです。緑色で無毛で、6から10の花を含みます。内部の花は閉鎖花であり、開かないままで結実します。
イヌムギは日当たりの良い湿った肥沃な軽しょう土を好み、日本全土に広く分布していす。 ごくありふれた雑草で、農耕地でも放置すると生えてくることがあります
環境への影響これらの外来種は、生態系への影響を及ぼすことがあります。特に特定外来生物に指定されたものは注意が必要です