冬虫夏草(とうちゅうかそう)は、昆虫に寄生する不思議なキノコの一種で、名前の通り「冬は虫、夏は草(キノコ)」の姿になることからその名がつけられました。見た目も生態もユニークで、古代から薬用として珍重されてきた存在です。

セミの幼虫に寄生
冬虫夏草の正体とライフサイクル
分類:菌類(キノコ)で、植物でも動物でもありません
寄生対象:主にガやセミなどの昆虫の幼虫に寄生します
冬虫夏草の成長の流れ
冬:昆虫の体内で菌糸がゆっくり成長

地上に出た冬虫夏草
夏:虫の体を突き破って地上にキノコ(子実体)として現れる
種類と分布

ツクツクボウシに寄生した冬虫夏草
世界には約500種類以上、日本にも400種以上が確認されています
中国では特に「オオコウモリガの幼虫に寄生する種が高級品として知られています
漢方・薬膳としての利用
古代の中国では秦の始皇帝や楊貴妃も愛用したとされるほどの歴史があります。
期待される効能
免疫力向上(β-グルカンなどの成分が豊富)
滋養強壮・抗老化・抗炎症作用
呼吸器系や腎機能の改善にも使われることがあります
現代の応用と栽培
天然の冬虫夏草は希少で高価ですが、現在は人工培養も可能
日本でも製薬会社が人工栽培に成功し、サプリメントなどで流通しています
こちらは冬虫夏草(とうちゅうかそう)の寄生の様子と構造を示す図解です

図左は白色の菌糸(菌糸体)が幼虫の体内に広がり、図右のようにやがて地上に「子実体」として現れる様子
昆虫?キノコ?不思議な物体、あまり見ることがない冬虫夏草をご紹介いたしました。