松の木や、桜の木から樹液が出ていることがあります。クヌギの木などの樹液はカブトムシをはじめ昆虫が樹液を求めて集まってきます。また樹液によっては食用に出来たり、工業製品にも活用出来ます。樹液とは何でしょうか?

樹液とは?
樹液とは、植物の樹皮を傷つけた時に染み出てくる液体です。木の中を流れる栄養分豊富な液体で、樹木の「血液」とも言えるものです。樹液には糖分やミネラル、アミノ酸などが含まれており、植物の成長や修復に重要な役割を果たします。
食用に利用されている樹液
そんな樹木に欠かせない樹液には様々な種類がありますが、人間が活用できるものがあります。どんな活用をしているでしょうか?
有名なものとしてはメープルシロップの原料があります。メープルシロップは主にカエデの樹液から作られる自然な甘味料として知られており、パンケーキやワッフルにかけるだけでなく、料理やお菓子作りにも使われます。特に、その独特の風味と栄養価も高く健康に良い成分が評価されています。
ココナッツサップの樹液は、ココナッツの花序(花が集まった部分)から採取される液体です。ココナッツの樹液は、南東アジアや太平洋諸島など、ココナッツが自生する地域で広く利用されています。ココナッツサップの特徴と用途は以下に挙げて見ました。
飲料: 新鮮なココナッツサップは、そのまま飲料として楽しむことができます。甘くて爽やかな風味があり、天然の清涼飲料水として人気があります。
発酵飲料: ココナッツサップを発酵させて作る伝統的なアルコール飲料もあります。例えば、フィリピンの「タパイ」やインドネシアの「トゥアック」などが知られています。
ココナッツシュガー: サップを煮詰めて濃縮し、砂糖に加工することができます。ココナッツシュガーはカラメルのような風味を持ち、低GI(グリセミック指数)食品として人気があります。
酢: ココナッツサップから作られるココナッツビネガーもあります。料理の調味料として利用され、特に東南アジアの料理に使われます。
ココナッツサップは栄養価が高く、ビタミンやミネラルを豊富に含んでおり、健康にも良いとされています。新鮮なサップは保存が難しいため、多くの場合はすぐに加工されることが多いです。
樹液を利用した工業製品

天然ゴム ゴムノキという木の樹液から作られる高分子材料です。その独特の柔軟性、伸縮性、耐久性を持つ材料となります。天然ゴムはタイヤ、ゴム製品、医療器具、消費財など、さまざまな用途に利用されています。
漆(うるし)重箱、お椀などの食器に使用される漆も樹液を活用しています。

漆の木
漆の原料は、ウルシノキ(漆の木)から採取される天然樹液です。以下がその主な流れです
ウルシノキの樹液採取: ウルシノキに切れ込みを入れ、そこから樹液(漆液)を集めます。この作業は通常夏に行われます。
生漆の処理: 採取された生漆は、異物を取り除くために精製されます。
加熱と濾過: 生漆を加熱して水分を飛ばし、さらに濾過して不純物を取り除きます。
使用準備: 最終的に、漆が使用可能な状態になると、それは器物に塗布されたり、装飾に用いられます。
漆には、他にもカシュー漆(カシューナッツの殻から作られる)などがありますが、伝統的な漆芸に用いられるのはウルシノキの漆です。
樹液を活用している他の生物
昆虫: カブトムシ、クワガタムシ、ミツバチなど多くの昆虫が樹液を栄養源としています。特に、カブトムシやクワガタムシは樹液を吸ってエネルギーを得ますし、ミツバチは花蜜と共に樹液を利用して蜂蜜を作ります。
鳥類: 特定の鳥、例えばキツツキの仲間は樹液を採取して食べます。樹液が滲み出た部分をつついて、その甘い液体を摂取します。

樹液を食べるシマエナガ
哺乳類: 一部の哺乳類も樹液を利用します。例えば、コアラやグライダー(小型の滑空する哺乳類)はユーカリなどの樹液を摂取して栄養を補給します。
微生物: 樹液には多くの微生物が生息しており、これらの微生物が分解することで植物に栄養を供給する役割を果たしています。
樹液はこれらの生物にとって重要な栄養源であり、生態系の中で重要な役割を果たしています。木の樹液工業製品や食用、動物の餌など多くの面でもちいられている事がわかります