柿に渋柿と甘柿があるのは何故?

秋の季節になると木に鈴なりになる柿をよく目にします。それで秋の果物と言えば柿を思い浮かべる方も多いと思います。柿は日本古来から存在する日本の果物です。砂糖が普及する以前、柿は天然の甘味料や保存食として重宝され、秋から冬にかけての栄養源・嗜好品として文化に深く根付いてきました。その柿で不思議に思われる方も見えると思います。渋柿と甘柿の存在です。柿に「渋柿」と「甘柿」があるのは、果実に含まれるタンニンの性質や品種の違い、さらに受粉や種子の有無によって渋みが抜けるかどうかが変わるためです。以下に詳しく説明します。

渋柿と甘柿の違いの仕組み

渋みの原因はタンニン 柿の果肉にはポリフェノールの一種であるタンニンが含まれています。タンニンが唾液に溶けると強い渋みを感じます。 甘柿はタンニンが不溶化する 完熟するとタンニンが「唾液に溶けない性質」に変わり、渋みを感じなくなりますこれが甘柿です

渋柿はタンニンが残る 熟してもタンニンが唾液に溶けるままなので、いつまでも渋いまま。食べるには「渋抜き」が必要です。

品種による分類

柿は大きく3つに分けられます

1. 完全甘柿 種があってもなくても自然に渋みが抜ける(例:富有、次郎)。

2. 不完全甘柿 種ができた部分だけ渋みが抜ける(例:西村早生、筆柿)。種が少ないと渋く感じる。

3. 渋柿(完全・不完全) 種があっても果肉全体に渋みが残るため、収穫後にアルコールや干し柿加工で渋抜きする必要がある(例:平核無、刀根早生)。

なぜ同じ木でも甘い実と渋い実ができるのか3つの要素

受粉の有無 不完全甘柿では、近くに雄花を持つ木があると受粉して種ができ、その部分だけ甘くなる。近隣の木がなくなると渋い実ばかりになることもあります。

環境や気候 成長過程の気候条件によってタンニンの変化が左右されることがあります。

遺伝的要因 甘柿はもともと渋柿からの突然変異で生まれた品種。野生種に近い木では「先祖返り」で渋柿が混じることもあります。

渋柿と甘柿の違いまとめ

 渋柿と甘柿の違いはタンニンの性質の変化にある。品種によって「自然に甘くなる」「種があると甘くなる」「渋抜きが必要」と分かれる。同じ木でも環境や受粉条件で甘さが変わる。

おまけ 何故?渋柿は干すと甘くなるの

答え:渋柿を干すと甘くなるのは、渋みの原因である水溶性タンニンが不溶化して渋みを感じなくなることに加え、水分が蒸発して糖分が濃縮されるためです。

渋みが消える仕組み 渋みの正体はタンニン、渋柿には水に溶ける「水溶性タンニン」が多く含まれ、口の中で唾液に溶けて強い渋みを感じます。

干すことで不溶化 皮をむいて乾燥させる過程で、果実内にアセトアルデヒドが生成されます。これがタンニンを固めて「不溶性」に変えるため、唾液に溶けず渋みを感じなくなります。

 甘さが増す仕組み 水分の蒸発による糖の濃縮

干すことで果実の水分が抜け、糖分が相対的に濃縮されます。生柿の糖度が15度前後でも、干し柿になると20度以上に上がることがあります。干し柿の方が糖度が高く甘いのですね。

風味の変化 単なる甘さだけでなく、乾燥による熟成で旨味や香りが増し、独特の濃厚な甘みが生まれます。

干し柿の文化的背景  渋柿はそのままでは食べられないため、昔から「干す」「アルコールで渋抜きする」などの工夫がされてきました。甘柿には柿を美味しく頂く先人の知恵が詰まっているのですね、また干し柿は保存性が高く、冬の栄養源として重宝されてきた日本の伝統食です。

渋柿が甘くなる理由まとめ

渋柿が甘くなるのは「タンニンの不溶化」と「糖分の濃縮」の二重効果。

干し柿は単なる渋抜きではなく、熟成による風味の深化も加わるため、特有の濃厚な甘さを持つ

以上 渋柿と甘柿の違いでした。柿の奥深い面を考察出来ました、甘柿、干し柿、秋の味覚を楽しみたいですね

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