田舎の道や家屋又は、アウトドアの際に時に出現する蛇、手足がなく、長く、ぬるっとした質感からあまり良いイメージがなく、敬遠される方も多いと思います。日本に生息する蛇は、種類は意外と少量で沖縄などの島々を除けば、本土ではわずかに8種だけです。この8種の特徴がわかれば、アウトドアで蛇に出会っても慌てることはありません。それでは、日本本土に生息する8種の蛇を見てみましょう。
アオダイショウ(青大将)
アオダイショウ(青大将、黄頷蛇、学名: Elaphe climacophora)は、ナミヘビ科ナメラ属に分類されるヘビです。日本固有種で、日本全土の北海道から九州、南限の口之島、伊豆諸島、壱岐、隠岐、対馬、五島列島、大隅諸島などに分布しています。
形態:全長は100 – 200 cmで、日本本土では最大のヘビです。南西諸島のサキシマスジオ、シュウダ、ハブに次ぐ大きさとなります。
生態:アオダイショウは平地から山地にかけての森林、堤防、農地などに生息します。樹上性の傾向が強いですが、地表での活動も多いです。昼行性で、夜間は岩の隙間や地面に空いた穴の中で休みます。危険を感じると総排出口から臭いを出すことがあります。
樹上に上る際には腹板の両端の強い側稜を使って垂直に登ります。壁をよじ登ることもでき、都市部でも生息できる原動力となっています。食性は肉食で、鳥類やその卵、哺乳類を食べます。幼蛇はトカゲやカエルを食べることが多く、成体は鳥類や哺乳類を捕食します。繁殖形態は卵生で、5-6月に交尾を行い、7-8月に7cm弱の卵を4-17個産みます。卵は47-63日で孵化します。アオダイショウは人家周辺でよく見られ、人と共に暮らすヘビといわれています。人のいない深山などで観察されることは少ないですが、都市部の公園や河川で見られます。
シマヘビ(縞蛇)
シマヘビ(縞蛇、学名:Elaphe quadrivirgata)は、日本固有の無毒のヘビで、全長は80-200 cm
分布: シマヘビは日本(北海道、本州、四国、九州、大隅諸島)に広く分布しています。国後島でも生息しています。
形態: 通常は淡黄色の体色に4本の黒い縦縞模様が入りますが、縞がまったくない個体やアゴの辺りが黄色い個体も存在します。種小名の「quadrivirgata」は、「4つの縞」を意味します。体の細さに比べて鱗は大きく、皮膚に柔軟性がないため、大きな餌は呑み込めません。虹彩は赤く、瞳孔は縦長の楕円形です。
生態: シマヘビは耕地や河川敷に住むほか、草原や森林にも生息します。危険を感じると尾を激しく振るわせ、地面を叩いて威嚇します。食性は幅広く、ネズミ、リス、ウサギ、カエル、小鳥、ほかのヘビ類、昆虫などを捕食します。繁殖形態は卵生で、4-5月に交尾し、7-8月に4-15個の卵を産みます。メスは出産直後からしばらくの間は卵を守ります。
シマヘビは日本国内の農村でよく見られるヘビであり、食性はヤマカガシよりも幅広いため、稲作の発達と共にカエルの分布が拡大し、それに伴って本種の生息範囲も拡大したと言われています。 都市周辺地域では交通事故に遭いやすく、生息域が道路や塀などで分断されてしまうと、それを越えることができなくなり、20世紀後期以降の都市周辺地域では見かけなくなってきているものの、雑木林の周辺などでは依然としてしばしば見られます。無毒ですが、もし咬まれた場合は、患部を水でよく洗い、消毒して医療機関で処置を受ける必要があることに注意してください
ジムグリ(地潜)
ジムグリ(地潜、学名: Elaphe conspicillata)は、ナミヘビ科ナメラ属に分類される無毒のヘビの一種です。
分布: ジムグリは日本固有種で、北海道、本州、四国、九州、大隅諸島に分布しています。
形態: 頭部から尾までの全長は70-100 cmで、体色は赤みがかった茶褐色で、黒い斑点が入ります。頭部にアルファベットの「V」字の模様があり、この線が眼にかかるところが学名の由来(鼻眼鏡の意)となっています。
生態: 平地から低山地の森林、草原、水辺などに住むことがあり、特に林床を好み、地中や石の下に潜ることが和名の由来です。気温は24℃前後の低温を好み、朝方や夕方の気温の低い時間帯によく活動します。食性は動物食で、ネズミやモグラなどの小型哺乳類を食べます。 繁殖: 繁殖形態は卵生で、4-6月頃に交尾し、7月-8月頃に1-7個の卵を産みます。卵は白くて楕円形で、皮革状の卵殻を持っています。幼蛇は成体よりも体色が鮮明です
ヤマカガシ(山楝蛇)
ヤマカガシ(赤楝蛇、山楝蛇、学名: Rhabdophis tigrinus)は、日本固有種のヘビで、爬虫綱有鱗目ナミヘビ科ヤマカガシ属に分類されます。
分布: ヤマカガシは日本(本州、四国、九州、佐渡島、隠岐島、壱岐島、五島列島、屋久島、種子島)に分布しており、南西諸島、小笠原諸島、および北海道には分布していません。
形態: ヤマカガシは全長60〜120センチメートルで、体色は地域変異があります。関東地方の個体群は体側面に赤色と黒色の斑紋が交互に入り、関西地方の個体群は体側面の斑紋が不明瞭です。近畿地方西部から中国地方の個体群では青色型も見られます。また、黒化型は他種蛇と判別がつきにくいことがあります。頸部背面には黄色の帯があり、幼体でより鮮やかで、成長するにつれてくすんできます。
毒: ヤマカガシは有毒で、毒牙は上顎の奥歯にあります。毒腺を圧迫する筋肉がないため、一瞬噛まれただけでは毒が注入されないこともあります。毒性は強い血液凝固作用で、血管内で微小な血栓形成を引き起こします。咬傷直後には局所的な激しい痛みや腫れはあまり起こらないものの、重症例では脳出血や急性腎不全などを引き起こすことがあります。嚙まれた場合は早く医療機関を受診してください。
ヒバカリ(日計・日量)
ヒバカリ(Hebius vibakari)は、爬虫綱有鱗目ナミヘビ科ヒバカリ属に分類されるヘビです。日本固有種で、本州、四国、九州、壱岐、隠岐、屋久島などで見られます。以下に、ヒバカリについての詳細をご紹介します。
分布: ヒバカリは本州、四国、九州、壱岐、隠岐、屋久島などで広く分布しています。
形態: ヒバカリは全長40-65センチメートルで。背面の色彩は淡褐色や褐色で、吻端から口角、頸部にかけて白や淡黄色の斑紋が入ります。
生態: ヒバカリは平地から低山地にある森林に生息し、水辺を好む傾向があります。薄明薄暮性で、雨天時には昼間も活動します。危険を感じると鎌首をもたげて威嚇します。冬眠することもあります。
餌: ヒバカリは魚類、カエル、ミミズなどを食べます。
繁殖: 繁殖形態は卵生で、7-8月に1回に2-10個(平均6個)の卵を産みます。
ヒバカリは無毒種ですが、かつては毒蛇とみなされていました。名前は「噛まれたら命がその日ばかり」という俗説に由来していますが、実際にはヒバカリによる咬傷が原因での死亡事故は一件も確認されていないようです。
シロマダラ(白斑)
シロマダラ(Dinodon orientale)は、爬虫綱有鱗目ナミヘビ科マダラヘビ属に分類されるヘビです。日本固有種で、北海道、本州、四国、九州、伊豆大島、奥尻島、屋久島などで見られます。
分布: シロマダラは日本国内で広く分布しており、北海道から九州、伊豆大島、奥尻島、屋久島などで見られます。
形態: シロマダラは全長30-70センチメートルで、頭部の体色は黒褐色で、体色は淡褐色で黒褐色の横縞が入ります。幼蛇は斑紋がより明瞭で、後頭部に明色部があることが特徴です。
生態: シロマダラは低山地の森林に生息し、地表棲ですが、物に登ることもあります。夜行性で、無毒ですが外敵に襲われると毒ヘビに擬態して威嚇するか、擬死行動を行います。食性は動物食で、小型爬虫類を食べます。繁殖形態は卵生で、夏季に1回に1-9個の卵を産みます。夜行性かつ個体数が減っているため、目撃例は非常に少なく、一部地域では「幻のヘビ」と呼ばれることもあります
ニホンマムシ(蝮)
ニホンマムシは日本(国後島、北海道、本州、四国、九州、大隅諸島)にのみ棲息しています。
形態: 全長は約45-60センチメートルで、胴が太く、体形は太短い特徴があります。赤外線感知器官(頬窩、ピット器官)が明瞭で、舌は暗褐色や黒です。幼蛇は全長20センチメートル、体重5グラムで、尾の先端が橙色です。
毒: ニホンマムシの毒性はハブよりも強いですが、体が小さいため毒量は少ないです。咬傷を受けると局所の疼痛や腫脹が起こります。出血作用は強くないものの、血小板が凝集することで血中の血小板が減少し止血作用を失います。さらに、骨格筋が溶解し筋肉中のミオグロビンが血液中に流出し、褐色尿を引き起こすこともあります。重症化した例では急性腎不全を起こすこともあります。
タカチホヘビ(高千穂蛇)
タカチホヘビ(Achalinus spinalis)は、日本本土に分布するナミヘビ科のヘビで、山地から平地までの森林内や周辺地域に生息しています。
分布: タカチホヘビは本州、四国、九州とその周辺の一部の沿岸島に広く分布しています。
大きさと外見: タカチホヘビは全長30~60センチメートルほどで、体色は茶色で黒っぽい縦縞模様が背中に入っています。幼体は全体的に黒っぽく、縞模様は目立ちません。成長したメスは体が黄色っぽくなります。鱗は真珠光沢のあるビーズのようで、普通のヘビとは異なり、鱗と鱗の間の皮膚がむき出しになっています。
生態: タカチホヘビは夜行性で、雨上がりの夜に地表に出てくることが多いです。湿った森林や沢沿いの林道などで見かけることがあります。高温と乾燥から身を守るため、普段は土の中に潜って暮らしています。
食べ物: タカチホヘビはミミズを主食としています。野生のタカチホヘビは土の中や朽木の下、雨の降った後の地表でミミズを探しています。また、ヤマビルやサンショウウオの幼体も食べることがあります。
以上本州にいる蛇を挙げましたが、本州にいる毒蛇はマムシとヤマカガシの二種類でこれらの蛇は注意が必要ですが、他の種類の蛇の中には、畑をあらすネズミなどの害獣を捕食してくれるので助かる面もあります。これらの蛇の特徴をしっかり覚えておけば、アウトドアで突然ヘビに出会っても慌ずに対応できることでしょう。なお毒蛇に噛まれた場合、以下の対処法があります。
毒蛇に嚙まれた場合の対処方
- 冷静にする: 恐怖や興奮を抑え、冷静に行動します。
- 動かない: 咬まれた部位を動かさず、心拍数を下げます。
- 咬まれた部位を心臓よりも低く保つ: 血流を減少させるため、咬まれた部位を心臓よりも低く保ちます。
- 圧迫帯を締める: 咬まれた部位から心臓に向かって圧迫帯を締めますが、過度な圧迫は避けてください。
- 病院へ行く: できるだけ早く医療機関を受診してください。毒蛇の種類によっては対処法が異なります。
*毒蛇に噛まれた場合はできるだけ早く専門家の指示に従ってください。救急車を呼ぶことも検討してください。